Smiley face
写真・図版
ハーバード大学のロゴが書かれたパーカ=2025年5月29日、米マサチューセッツ州ケンブリッジ
  • 写真・図版

 トランプ米政権が予算や認可権といった権力を露骨に使い、エリート大学への攻撃を続けています。圧力に屈したとみられる大学もある一方、政権の要求を拒み、法廷でも争っているハーバード大に注目が集まっています。この現象が意味するものは何なのか。ハーバード大法科大学院のアンドリュー・マニュエル・クレスポ教授に聞きました。

 ――ハーバード大などに対する攻撃についてどう捉えてきましたか。

 歴史を振り返っても世界を見渡しても、民主主義下で選ばれた人間が独裁者のように権力を集中しようとする際、真っ先にやるのが、自由な言論機関や裁判所、そして大学への攻撃です。活力ある立憲民主主義に不可欠な機関だからです。トランプ大統領はここ数カ月、この典型的手法を実行してきました。

 政権は4月11日、政府の資金を得たければこれをしろ、という要求を突きつけてきました。世界に利益をもたらしてきた米政府と大学との提携を「武器」に使って、我々が大学で何を教え、どんな問いを発し答えを出すのか、教育のあり方を変えさせようとしたのです。政権の望みは、ハーバード大を実質的に「トランプ大学」に変え、思想教育をさせることです。

 ――米国の「建国の父」たちは、民主主義下で暴君が登場することを恐れ、それを防ぐ憲法などの仕組みを整えていたはずではないのですか。

 建国の父の一人、ベンジャミ…

共有